こんにちは、ラナトです。
今回は古屋星斗さんの書籍「会社はあなたを育ててくれない 『機会』と『時間』をつくりだす働き方のデザイン」のレビューをしていきます。
この本は、今やっている仕事になんとなく満足できない気持ちを感じている人はもちろん、これから就職をしようとしている方のキャリア選択の参考にもなるものと感じました。
それなりにボリュームのある内容なので、特に印象に残った内容をピックアップして、感じたことをお話ししていきます。
会社はあなたを育ててくれない
この本では、働き方改革を始めとした時代の変化により、昔よりも会社が労働者を育成することが少なくなったという旨の指摘がされています。
また、ただ会社の指示どおりに働いているだけで自然に成長できるということは減ってきた、という話もされていました。
私が仕事をしている環境の中での実感としても、新しく入った人や若手に対し、一から仕事を細かく教えていくというよりは、とりあえずやってもらいつつ、その中で適宜教えていくといういわゆるOJTが多いと感じます。
指導のマニュアルがあるわけでもなく、質問をされたら適宜教える側の人の経験に沿って説明をしていくというような形です。
指導担当が指導に専念できるような体制が用意されていればよいですが、指導の体制が組織として確立されていない(現場任せになっている)と、教える側は自分の仕事と並行して指導もしなければならないため、細かく教えてあげるというのはなかなか難しいです。
教わる側が積極的に目的意識を持って試行錯誤をしたり勉強をしていかないと、自分のスキルを上げていくのも簡単ではありません。
そのため、主体的に学ぼうとする人と単に言われたことをそのままやるだけの人でスキルの格差が広がっていきがちだと感じます。
また、現代では同じ会社に定年まで勤めあげるのではなく、転職などでキャリアチェンジをしていくことも珍しくなくなってきました。
ですが、日々受け身で過ごしていると、転職などをしようとしても自分の強みとなるような経験やスキルに乏しく、キャリアチェンジも難しくなってしまいます。
「仕事はお金のためにやっている」という人であっても、お金のために会社に言われた最低限のことだけひたすらやるというスタンスではなく、積極的にスキルや経験を積みにいくという姿勢が、結果的に自分のキャリアを充実させるために必要だと思います。
「ありのまま」と「なにものか」という2つの気持ち
この本では、若手の社会人が「自分が良いと思ったものを大事にして、ありのまま仕事をしたい」という気持ちと、仕事を一人前にこなせ、社会から必要とされるような「なにものか」になりたいという気持ちの両方を持っていると指摘されています。
ここでいう「ありのまま」というのは、いわゆるワークライフバランスを大切にするというようなニュアンスのようです。
この本でも指摘されていますが、「ありのまま」ということと「なにものか」ということを両立していくことは、なかなか難しいところです。
他人から必要とされるような高いスキルを身につけるためには、やはり経験や努力を積んでいく必要があります。
そしてその過程では、たとえ「量より質」を重視して試行錯誤したとしても、どうしてもそれなりの時間がかかります。
そのため、ワークライフバランスを重視しながら仕事のスキルを上げていこうと考えると、特にまだ経験の少ない若手の段階では、かなりの時間がかかってしまう可能性があります。
このように考えると、「ありのまま」を重視する人でも、入社後しばらくは仕事に全力投球してまずは経験値を高めるのがよいのだと思います。
ある程度スキルがついてくれば、効率的にスキルアップできるようになってきて「ありのまま」仕事をしやすくなります。
また、新人の頃に仕事に全力を注ぐと、先輩や上司からも信頼されやすくなります。
(やっぱり最初の印象は大事です。)
社内で信頼されるようになれば、仕事がしやすくなることはもちろん、そこからプライベートなども大切にするためにペースを落とすこともしやすくなります。
序盤で頑張っておくことで、後の選択肢が広がります。
言い訳から始めるスモールステップ
この本では、キャリア形成のためには、小さなことからでいいので「情報」を集めるだけではなく具体的な「行動」を増やしていくことが大切と述べられています。

色々ネットで調べるけど、結局何もしない…
こういうこと、とてもよくありますよね。私もそんなことばかりです。
ですが、調べて知識ばかりため込むだけではダメで、実際にやってみることが大事なんですよね。
お試しでちょっとだけやってみて、その結果を踏まえてまたちょっと挑戦してみるということの繰り返しが理想です。
ただ、そうはいってもなかなか行動を起こすのは難しい…
そんなときの考え方として、この本では「言い訳」から行動を始めてみることが提案されています。
ここでいう「言い訳」というのは、「誰かに誘われた(薦められた)から」とか、「時間があるときにたまたま見つけたから」というようなものです。
自分から一から探して行動することについてハードルが高いと感じている場合には、上記のような偶然の機会があったときに、「とりあえずやってみる」ようにすることが効果的です。
偶然の機会がなければ自分からはやらないようなことでも、その機会を「言い訳」にしてやってみることで、思わぬ発見があるかもしれません。
私も、以前は自分の興味がないことはほとんどやっていなかったのですが、「人に誘われたら、興味があまりなくてもとりあえずやってみる」ことを実践してみると、意外と楽しくて趣味が増えたということがありました。
また、普段自分が行かないような環境に行くことで、新しい出会いもあったりします。
ぜひ、「言い訳」から行動してみてほしいです。
仕事は楽しもうとしなくてもいい
自己啓発系の本では、自分がやりがいをもって楽しめる仕事をすることの大切さが説かれていることが多いです。
確かに、仕事は人生の多くの時間を費やすものですから、辛いと思いながらやるよりも楽しくできる方がいいというのは自然な発想です。
また、楽しみながら仕事をしている人の方が嫌々仕事をしているよりもいいパフォーマンスができるという話もよくあるところで、それも納得できます。
一方で、この本では、「仕事はそもそもつらいものだ」という価値観でそれほど熱意なく仕事をすることについても、必ずしも悪いことではないと指摘されています。
具体的には、「仕事はそもそもつらいものだ」と割り切りながらも、効率よく仕事を済ませるために工夫をし、成果を出せる人もいるという例が挙げられています。
確かに、「仕事に対してそれほど高いモチベーションはないけど仕事ができる人」というのは結構いるように思います。
そういった人は、「楽しいかどうか」ということと「成果を出すこと」を分けて考えることができていて、楽しくなくてもお金などの目的のために仕事で成果を出す努力をできています。
「仕事を楽しんでいる人の方が仕事をつらいと思っている人よりも成果が出せる」とは一概にはいえないということですね。

仕事を楽しいとは思えない…
こんなときでも、すぐに転職や起業などのキャリアチェンジを考えるのではなく、「仕事はそもそもつらいもの」と割り切って取り組むという選択肢を積極的に考えていいというのは、他の書籍ではあまりないアプローチだと感じました。
最後に
今回、この本を読んで特に感じたのは、必ずしも仕事を楽しもうとしなくてもよいということと、ワークライフバランスを重視している人でも(むしろワークライフバランスを重視する人こそ)最初に全力で仕事をして、その後に自分のやりたいように仕事をできる下地を作っていくことがよいということです。
「自分が楽しめる仕事をする」というと結構ハードルが高く感じますが、そうでなくてもよいというのは、ある意味現実的で実践しやすい考え方だと感じました。
キャリアに悩む方にはぜひ読んでみてほしい一冊です。

